日記 大切な怒り 私は夫の怒りを聴く 「そこで、そうやって見ているだけなのか」出かけたいのに、ひとりでは着替えられない夫が、怒りながら、着方がわからないシャツを床に叩きつけた。「そんな言い方で手伝ってくれる人なんていないよ」私は言い返す。これは、私と夫の真剣勝負だ。私は、夫の怒りを受ける。夫の怒りを収めることはせず、吐き出させる。今まで... 2023.03.19 日記
日記 夫が帰りたいところ 目印としてのふるさと 夫は、よく家に帰りたがる。それは、帰宅願望といわれる、認知症の症状のひとつ。家にいるのに、家に帰りたがる。夫が帰りたい家。それは、今、私と住んでいる家ではない。夫が帰りたい家。それは、生まれ育ったふるさとの家、のようで、そこだけではない。ふるさとに帰っても、夫の生家は、もうない。そのことを夫は、覚え... 2023.03.19 日記
日記 夫が安心していられる場所 夫の「帰る」という言葉に込められた思い。今までできたことができなくなり、なにを考えてもよくわからなくて、自分が壊れていくようで、不安、怖い、逃げたい、『安全で安心できるところに帰りたい』。体の具合が悪い夫が「帰る」と言う。その言葉の根底には、『自分を不安にするものがない、安心して休むことができるとこ... 2023.03.17 日記
日記 夫の痛みは、寝ても治らない 散歩が大好きな夫。毎日1万5千歩、多い日には2万歩以上、歩いている。まあその歩数のすべてに、私も同行しているわけだが。連日2万歩以上歩いても、30代の私の足に、異常はないが、70代の夫のヒザやふくらはぎは、悲鳴をあげだす。夫自身は歩くのが好きだけれども、夫の体、とくに足がそれについてこれない。連日、... 2023.03.14 日記
日記 ちょっとだけ逃避行 私は夫と駆け落ちをしたことがあります。それも結婚後に。私と夫は、夫がすでに認知症をわずらっていて、さらに歳の差が35ありましたが、私の身内、夫の身内、ともに誰にも反対されることなく結婚に至っています。では、なぜ、結婚した夫婦が、駆け落ちをすることになったのか。コロナ禍が始まって少し経ったころでした。... 2023.03.14 日記
日記 人間にたいして失礼だろう 夫が、自分の認知症に対して発した言葉。「人間にたいして失礼だろう」夫にとっては深刻な問題なのだろうが、それを聞いた私は、夫の表現のすばらしさに衝撃を受けた。なんてわかりやすく素直で的確な表現だろう。加えて夫は「頭をボカンと殴ってやりたい」とも言った。認知症には、頭どころか形がないので殴れない。でもこ... 2023.03.12 日記