第二部

詩・短文

満月を見た時間

夫の不安に付き添った日々あの時期が私の人生で一番長い時間満月を見た時期になるんじゃないかと思う夫の不穏や不安感が強かったころよく一緒に散歩をした。散歩は夜に限らなかったがあの頃と記憶が満月と結びついて残っている。「今日の月は赤いね」と話しながら歩いたあとでニュース番組でその満月の名前を知った。ストロ...
第二部

たゆたいながら 第二部 序文

私は小さい頃から言葉に敏感だったのかもしれない。小学生のとき、国語のテストで「作者の気持ちを三択から選べ」という問題があり、そのとき私が選んだ答えは不正解だった。私は正解とされる選択肢に納得できず担任に尋ねたが、なぜそれが正解になるのか明確な説明はなかった。さらに、自宅に帰った私は両親にも、なぜ私が...