タイトルからすると、定期預金の解約のために、夫に成年後見人をつけたように思われたかもしれませんが、実際は、将来を見据えて、夫に成年後見人をつけたくないから、定期預金をすべて解約した、というお話です。
今のような低金利だと、定期で預けていても大したことないので、そんなに悩むことはないかもしれませんが、やはり満期前の解約は、少し躊躇しました。
夫の考え 定期預金
夫の考えはシンプルで、お金を預けている銀行口座を一つにまとめて、自分の預貯金の額を一目で把握できるようにしたい。だから、定期も解約したい、です。
これは、認知症と診断される前の話ですが、夫は自分の変化を機敏に感じ取っていて、だから、自分の資産を、今の自分が把握できる範囲にもってきたかったのです。
ちなみに、夫の口座は、かなりまとめましたが、一つにはしていません。
私の考え 定期預金と成年後見人
私は、夫の定期預金を解約するとき、将来のことを考えました。
いつか夫の認知症が進み、夫の意思で定期預金が解約できなくなったとき、解約するためには、夫に成年後見人をつける必要がでてくる。その成年後見人に支払う費用と、定期預金から得られる利息とを勘案したとき、利息はあっという間に成年後見人の費用でなくなってしまう。
ここはすっぱり利息をあきらめて、成年後見人をつける必要がでてくる可能性を低くしておいた方がいい、と私は考えました。
認知症介護は、今現在の問題に対応するだけあっぷあっぷですが、長期的な視野をもって行動しておくことが、いずれ自分と相手のためになります。
夫のお金
夫は定期預金の解約の判断を、私に任せてくれました。なので、私が止めていれば、定期預金の解約はしなかったと思います。
長年連れ添った妻でもないのに、なぜ私がそこまで夫に信用されたのか考えてみると、私は夫以上に夫のお金に対してケチで細かかったです。ケチで細かいが故に、私が夫に損をさせるような判断はしない、と夫に信用されたのだと思います。
お金で人の信用を得ることは難しいですが、失うことは、いともたやすいです。私はそれを肝に銘じて、夫のお金を管理しています。
これは、夫が認知症になってから結婚した夫婦なので、夫のお金は、私とは関係のないお金だという考えが、私にあるからかもしれせん。
その点、長年連れ添った夫婦であったり、子どもであったりすれば、相手のお金は少なからず自分と縁があるお金という感覚があるので、そんなにすっぱり割り切れないかもしれませんね。
信頼、お金、そして家族
お金に限った話ではありませんが、夫には、認知症になったからこそ、敏感に感じとる部分があります。
認知症だから、騙してお金を引き出そうなど、安易に考えないでください。たとえお金は引き出せても、自分に対する相手からに信頼も、同時に流出しているかもしれません。
一時のお金より、コツコツ積み重ねた信頼関係の方が、いずれ介護をらくにしてくれます。
まあ、お金に関しては、認知症の人と揉めるよりは、他の家族と揉めることの方が多いし、おきる問題が厄介かもしれません。
家族でいがみ合うことになるのなら、成年後見人制度を利用することも考えた方がいいのでしょうが、現状の成年後見人は、本人の財産を守ることが仕事であって、家族の味方ではないので、介護する家族からすると使い勝手は悪いですよね。
かといって、成年後見人が家族寄りになりすぎると、それはそれで問題が出てくるでしょうから、悩ましいところです。
よもやま話
定期預金を解約するとき、銀行の窓口で、解約理由か使途を聞かれます。
ある銀行でのこと、窓口でいつものように使い道を聞かれた夫が「バラまくんだよ」と陽気に答えました。
夫の中では、花咲かじいさんのようにバラまくイメージなのですが、窓口の人は子どもや孫にバラまくととったようでした。
私はそのときの雰囲気にのっかって「やった!それでハワイ連れて行ってね」と夫に言い、夫も「よし、よし」と満更でもない様子でした。
その数か月後、夫のそのお金を使って、私たちは本当に新婚旅行にハワイに行きました。
もちろん、夫が数か月前のことを覚えていたわけではありませんが、今となっては、もう海外旅行にはいけないので、いいお金の使い道だったなと思います。