高額療養費制度と医療費限度額認定証

生きていれば誰しも、ケガをしたり病気になることはあります。

公的医療保険(国民健康保険、後期高齢者医療保険、健康保険組合、共済組合など)に加入していても、治療内容によっては医療費が高額になることもあるでしょう。

高齢になればなおさら、そうなる可能性が高くなります。

そんなとき助けになるのが、高額療養費制度(高額医療費支給制度)です。

わが家では、夫がこけて、頭からアスファルトにつっこみ、救急車で運ばれて、ひたいを十数針縫うケガをした月に、高額療養費の支給対象になりました。


どんな制度

高額療養費制度は、病院や薬局などで支払った医療費の1か月の合計が、自己負担上限額を超えた場合、その超えた金額が支給される制度です。

また、入院などで事前に自己負担の上限額を超えそうなことがわかっていれば、「医療費限度額認定証」または「限度額適用・標準負担額減額認定証」を医療機関に提示しておくことで、自己負担上限額を超える分は、支払わなくてよくなります。

※自己負担上限額は所得や年齢によって異なります。

※(条件はありますが)同じ世帯で同じ公的医療保険に加入している人の自己負担額を合算することができます。

※また上限額を超える月が多いと、上限額が下がることがあります。

高額療養費制度を利用される皆さまへ

対象になる方

公的医療保険に加入されている、すべての人が高額療養費制度の対象です。


制度を利用するには

医療費支払前

入院などで高額になることが前もってわかっている場合は、加入している公的医療保険で手続きをして「限度額適用認定証」または「限度額適用・標準負担額減額認定証」の交付を受け、病院に提示します。そうすると、病院側がその制度を利用したうえでの自己負担額を請求してくれ、上限額を超えた分は支払わなくよくなります。

「限度額適用・標準負担額減額認定証」は、市民税非課税世帯の人が対象になる制度で、自己負担上限額が「限度額適用認定証」より低く、入院時の食事代の減額が受けられます。

「限度額適用認定証」または「限度額適用・標準負担額減額認定証」の交付を受けたら、すべての医療機関(入院した病院、かかりつけ医、薬局など)で認定証を提示しましょう。そうすると、各医療機関で支払った自己負担額が自動的に合算され、自己負担の上限額を超える支払いがされたとき、高額療養費の支給がスムーズに行われます(堺市の国民健康保険の場合、交付申請したときに登録した口座に自動で振り込まれます)。


医療費支払後

高額療養費の支給申請は、過去2年までさかのぼることができるので、医療費の支払後に申請することもできます。

支給申請は加入している※医療保険者にします。保険者は75歳になったり、転職や引越しでかわることがあます。もちろん、かわった後でも期限内なら申請できますが、かわってしまうと「当時の保険者どこだっけ?」という状況になることもあるので、早めに申請することをおすすめします。

また、「限度額適用・標準負担額減額認定証」での入院時の食事代の減額は、さかのぼることができませんので、支払い前に提示しましょう。

医療保険者とは、保険の納付を受けたり、保険の給付を行う事業者のことで、健康保険証に記載されています。

市町村国民健康保険に加入の場合、各市町村が保険者で、後期高齢者医療保険に加入の場合、各都道府県の後期高齢者医療広域連合が保険者です。両方とも申請手続きは、各市区町村の役所で行います。

わが家の場合

高額療養費制度は、それぞれの医療機関で支払った負担額を合算することができ、さらに同じ世帯の人の負担額も合算できることがある(条件あり)ので、知らぬまに上限額を超えていて、知らぬまに対象になっていることがあります。

まさに、わが家がそうで、夫がひたいをケガした約1年後、今度は、硬膜下血腫の手術で夫が入院したとき、食事代の減額を受けるために「限度額適用・標準負担額減額認定証」の交付申請に役所に行ったら、役所の窓口の人が過去2年分の医療費の負担状況を調べてくれて、ひたいのケガの治療をした月が該当するということで、その場で手続きをして、後日、上限額を超えていた分が支給されました。その月の前半、歯科医院にも行っていたので、その分と合算されて上限額を超えたようです。

このことからわかるように、合算した結果、自己負担の上限額を超えた場合、支給対象となった旨の通知が届かない可能性があるということです。なので、複数の病院やクリニックで治療することがあった月は、医療費の負担額を気に留めておいてください。

合算するまでもなく、自己負担の上限額を超えたときは、加入している医療保険から、高額療養費の支給対象になった旨の通知が届くそうです。



夫がもし今、同じようなケガをして医療費が高額になったとしても、重度障がい者医療で助成されるので、高額療養費制度の上限額を超えることはありませんが、当時は重度障がい者医療の対象ではなかったので、高額療養費の支給対象になりました。

日本には医療費の負担を軽減する福祉制度が複数あり、障がいの程度が増すと、利用できる制度も増えます。障がいの程度は増さない方がいいですが、障がいの程度が増すと出費も増えるので、利用できる福祉制度を利用して、軽減できる負担は軽減していきたいですね。