日記

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最高にキュートなランゲージ

ごはんを食べさせていたら  「言っただろ」と、なぜか語気強めの夫  私にはなにも聞こえていなかったので  「なに言った」のと、聞き返したら  力強く大きな口を開け返された  (あーん)  (笑)  「それは言ったことにならん」  このやり取りがおもしろかったので  (あーん)の瞬間を写真に収めようと...
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抱きごたえのある背中

夫の背中  けさ  いつもより重い  ごきげんななめの体を抱えて  なんとかベッドのふちに座らせたら  体をうしろに倒してくる夫  このままだと  夫の頭がベッド柵にひっかかる  なによりも   もういちど起こすのが  めんどくさい  なんてときには バックハグ  抱きごたえのある 夫の背中  しば...
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夫が教えてくれる

夫の肩    「ぼく わからないんだ」  あさ 夫が つぶやいた  「なにが わからないの」  私が たずねる  「わからない」  ベッドのふちに  並んで  座った  夫は 肩を  落としているようだった  こんなとき 私は  夫の肩を抱けてよかったと思う 夫は、認知症になり始めたころから、『わか...
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わたし あたまが ぱーだから

「わたし あたまが ぱーだから」  夫が突然 そんなことを言った  私は 笑いながらも  それ以上におどろいた  夫からそのようなセリフを  聞いたことがなかったし  夫が笑いをとりにいくときの  スタイルでもない  夫が認知症対応型デイサービスに  行き始めたころ  「あんな人たちと一緒にいたくな...
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テーブルの上にきちんと揃えられた汚い靴下

食卓テーブルの上に  私が脱ぎ散らかした靴下が2枚  伸ばして 揃え 二つに折られて  置かれている  私と夫しかいない わが家  こんな丁寧な仕事をするのは  夫しかいない  このきちんと畳まれた靴下を見ていると  なんだか きれいな靴下に、、、  いや、見えてこない  これは 私が一日履き  さ...
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スイカのタネ「プッ」

その昔、夫は  「スイカのタネは、食べても大丈夫」  だと言って、タネごとスイカを食べていた  たぶん、タネを出すのも、取るのも  めんどくさかったのだろう    なのに今、夫がスイカのタネを  「プッ」と吹き飛ばしている  固くておいしくないので  タネを異物として認識したようだ    食べても大...
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お茶目さん

左手は夫、右手は車イスをにぎり  ショッピングセンターを散歩中  夫が「疲れた」とつぶやいたので  車イスに座らせようとした矢先  へたり込むように腰を屈めた夫  「チョットマッテ」  あわてる私  おしりが地面に着くと  持ち上げるのがやっかいなのだ  と、次の瞬間  「ウソッ」  と言って、すっ...
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手のかかる子ほど

手をとり 向かい合わせで歩く  夫と私  今日は 夫の足どりがいい  にやっと笑った夫が 掴んだ私の腕を  強く揺さぶる  「アッ」  揺れた拍子に 二人の手が離れ  バランスを崩した夫の顔が 驚きにかわる  とっさに夫を掴み 抱きとめる  「もー ふざけてるから   こういうことに なるんよ!」 ...
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私は、私に私のことを伝え、それを聴き、自分自身に寄り添う

また夫が、家にいるのに「帰る」と言いだした。 私は大きくため息を吐く。 これは自然に出たため息ではなく、わざと吐き出したため息だ。 ため息で、私は、自分の機嫌の悪さを自分に伝えている。 夫への当てつけもあるが、それよりも、自分で自分の気持ちをはっきり意識するために。 認知症の症状のひとつ、帰宅願望に...
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『夫の老い』と『私の若さ』 それぞれに必要な時間

朝、夫が「死にそうなんだから」と言って、着替えを拒んだ。 死にそうだから着替える意味がないのか、死にそうだから着替えられないのか、死にそうだから着替えたくないのか、それは私にはわからない。 死にそうだからなんなのか、夫自信も、よくわかっていないだろう。 いろいろなことが『わからない』。 その感覚に、...