日常のひとコマ

日記

お茶目さん

左手は夫、右手は車イスをにぎり  ショッピングセンターを散歩中  夫が「疲れた」とつぶやいたので  車イスに座らせようとした矢先  へたり込むように腰を屈めた夫  「チョットマッテ」  あわてる私  おしりが地面に着くと  持ち上げるのがやっかいなのだ  と、次の瞬間  「ウソッ」  と言って、すっ...
日記

手のかかる子ほど

手をとり 向かい合わせで歩く  夫と私  今日は 夫の足どりがいい  にやっと笑った夫が 掴んだ私の腕を  強く揺さぶる  「アッ」  揺れた拍子に 二人の手が離れ  バランスを崩した夫の顔が 驚きにかわる  とっさに夫を掴み 抱きとめる  「もー ふざけてるから   こういうことに なるんよ!」 ...
エッセイ

認知症の人たちの人となり

認知症になっても、夫はジェントルマンだ、という話です。 夫が利用しているショートステイのスタッフさんが教えてくれました。 ショートステイ内で認知症のある利用者さんが、別の認知症のある利用者さんを批判していたそうです。 批判の内容は、なにかしようとしているけれどうまくできない利用者さんを責めるようなも...
日記

ちょっとだけ逃避行

私は夫と駆け落ちをしたことがあります。 それも結婚後に。 私と夫は、夫がすでに認知症をわずらっていて、さらに歳の差が35ありましたが、私の身内、夫の身内、ともに誰にも反対されることなく結婚に至っています。 では、なぜ、結婚した夫婦が、駆け落ちをすることになったのか。 コロナ禍が始まって少し経ったころ...
日記

人間にたいして失礼だろう

夫が、自分の認知症に対して発した言葉。 「人間にたいして失礼だろう」 夫にとっては深刻な問題なのだろうが、それを聞いた私は、夫の表現のすばらしさに衝撃を受けた。 なんてわかりやすく素直で的確な表現だろう。 加えて夫は「頭をボカンと殴ってやりたい」とも言った。 認知症には、頭どころか形がないので殴れな...