エッセイ

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くすり 信頼できない頼みの綱

認知症による不安や苛立ち、自分では制御できない衝動などを薬で抑える。 『本人も辛いのだから、薬で抑えてあげることは、本人のためにもなる』 本人の同意なく、もしくは、本人の意思がわからないまま、向精神薬などを飲ませることに対して、このような考え方を耳にすることがあります。 『本人のためにもなる』と、も...
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私のパワーと使い道『わが家のある程度の環境』

『わが家のある程度の環境』第一弾は、自宅で介護をする家族のマンパワーとお金について書きましたが、今回は、私のパワーとその使い道についてです。 私は1982年生まれで、2023年現在41歳です。 夫と結婚したのは、私が35歳のとき。 当時、70歳だった夫は、すでに認知症をわずらっていました。 人は、自...
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在宅介護の労働力『わが家のある程度の環境』

ひとりで暮らすことが難しい人を、自宅で暮らせるようにする。 『在宅介護』を成り立たせるためには、ある程度の環境を整える必要があります。 そして、必要な環境は、家庭の状況によって違います。 たとえば、介護に協力的な家族が複数いれば頼もしいですが、わが家の場合、夫の介護をしている家族は、私だけ。ですが、...
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外れなかったリミッター

力で負けても  知能で勝てる  頭を使えば互角に戦える  そう思っていた  でも本当は違う  夫のリミッターが外れれば  夫のパワーに  私が太刀打ちできるはずがない  でも夫はリミッターを外さなかった  いつも夫が先にあやまり  私にゆるしを乞うた  私を止めたのは夫であり  私を守ったのも夫だっ...
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暴力の抑止力

私は我を忘れたことがない  夫を殴っているときも  通報されたら逮捕されるだろうと  考えながら殴っていた  夫を蹴っているときも  行き過ぎているとわかっていた  夫と引き離されるかもしれない  そんな私が避けたい未来も思い描いた  それでも  止まらなかったし  止められなかったし  止めたくな...
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覚悟しつつも願っている

夫が私のことを忘れることがあった  知らない人を見る目で私を見  知らない人と話すように話し  私を知らないと言った  そんなことがたまにあった  そのことを人に話したら  「配偶者のことは   早い段階で忘れる人が多い」  と言われた  それが本当なのかどうかも  疑わしいのだけれど  そうであっ...
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プライド

今まで強がって生きてきた人間の  涙を見た  今まで守ってきたプライドが  バキバキと折れていく  音を聞いた  プライドを折ったのは  病であり  妻であり  自分自身  夫は自分で自分を傷つけ  自分のことをさげすんだ いま、夫は、幸せかもしれない。 そうだったとしても、それは、あの痛みを耐えぬ...
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「わからない」とは 2

世の中は、わからないことで溢れかえっています。 そして、わからなくても生活するには支障がないことも、山ほどあります。 私たちは、わからないことを「わからないといけないこと」「わかったほうがいいこと」「わからなくても、自分は困らないこと」「どんなにがんばってもわかるようになれる気がしないこと」「わかり...
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出会いと結婚

私と夫が出会ったとき、私は20代前半、夫は50代後半でした。 私は、夫と出会って数日で、今が自分を変えるチャンスだと悟りました。 今この人についていかなければ、私の人生は生きがいもなく、ただ過ぎていくだけだろう、と。 私は中学1年生の2学期から不登校ぎみになり、3年生のときは、ほとんど学校に行ってい...
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認知症 その周辺と影響症状

認知症について『周辺』という言葉が使われるとき、それはたいてい『周辺症状』について語られる場面です。 認知症の症状は、大きく『中核症状』と『周辺症状』の2つにわけられます。 『中核症状』とは、ものが覚えられなくなる、火や刃物の危険性がわからなくなる、今がいつなのか、ここがどこなのかわからなくなる、段...