エッセイ くすり 信頼できない頼みの綱 認知症による不安や苛立ち、自分では制御できない衝動などを薬で抑える。 『本人も辛いのだから、薬で抑えてあげることは、本人のためにもなる』 本人の同意なく、もしくは、本人の意思がわからないまま、向精神薬などを飲ませることに対して、このような考え方を耳にすることがあります。 『本人のためにもなる』と、も... 2024.04.08 エッセイ
ひとコマ・詩 執着心 夫は、自分の場所に帰りたがった ありったけのエネルギーを燃やして 自分の居場所を探し求めた 夫から執着心が放たれることは もう、きっと、ない 落ち着いたと言えば聞こえはいいが なにかに執着するためのエネルギーが 散ってしまった、ようにも思え 一抹のさみしさを感じた 認知症という病が... 2023.12.31 ひとコマ・詩
ひとコマ・詩 栄養になる無駄 本屋さんをぶらぶらして 気になった本をぱらぱらめくる 100円ショップをぶらぶらして いるようないらない物を見てまわる テレビをつけてスマホをいじり昼寝する 一見、無駄に思える時間 その無駄が、私には必要で 自分のための無駄な時間が 私の栄養 そんな時間を過ごせるのは、夫がデイサービ... 2023.11.26 ひとコマ・詩
ひとコマ・詩 『ぼく きらわれたんだ』 「ぼく きらわれたんだ」 目を伏せ、うなだれる夫 タブレットをいじりながら 自分の相手をする妻へ 渾身のしょんぼり この詩は、もともと、もう少し長かったのですが、『これでヨシ』と思った後に、思い直し、その後、何度も書き直しました。 それは、このときの夫の言葉と仕草から、私が感じたことがたくさんあり、... 2023.11.11 ひとコマ・詩
エッセイ 私のパワーと使い道『わが家のある程度の環境』 『わが家のある程度の環境』第一弾は、自宅で介護をする家族のマンパワーとお金について書きましたが、今回は、私のパワーとその使い道についてです。 私は1982年生まれで、2023年現在41歳です。 夫と結婚したのは、私が35歳のとき。 当時、70歳だった夫は、すでに認知症をわずらっていました。 人は、自... 2023.11.04 エッセイ
エッセイ 在宅介護の労働力『わが家のある程度の環境』 ひとりで暮らすことが難しい人を、自宅で暮らせるようにする。 『在宅介護』を成り立たせるためには、ある程度の環境を整える必要があります。 そして、必要な環境は、家庭の状況によって違います。 たとえば、介護に協力的な家族が複数いれば頼もしいですが、わが家の場合、夫の介護をしている家族は、私だけ。ですが、... 2023.10.17 エッセイ
ひとコマ・詩 人間らしく生きる 人間らしく生きようとすれば 傷つかない生き方はできない 尊厳を傷つけられる場面 人として生きていれば それは、あってあたりまえ 私は 夫に 最後の瞬間まで 人として生きていてほしい 私は 夫が傷つくことを 過度に恐れない 大切なのは 傷ついても なお 『生きていこう』と... 2023.10.16 ひとコマ・詩
日記 最高にキュートなランゲージ ごはんを食べさせていたら 「言っただろ」と、なぜか語気強めの夫 私にはなにも聞こえていなかったので 「なに言った」のと、聞き返したら 力強く大きな口を開け返された (あーん) (笑) 「それは言ったことにならん」 このやり取りがおもしろかったので (あーん)の瞬間を写真に収めようと... 2023.10.15 日記
ひとコマ・詩 あの ぼくに つづく道 道 つれていって あの 場所に ぼくの あの 場所に あの いろ あの におい あの おと あの くうき つれていって あの ぼくのところに 夫の認知症の症状の中で、夫と私、ふたりを一番いたぶったのが、『帰宅願望』だった。 ある日、今、自分が浜松(夫の母の実家)にいると思った夫が、歩いて鎌倉(出身地... 2023.10.07 ひとコマ・詩
エッセイ 外れなかったリミッター 力で負けても 知能で勝てる 頭を使えば互角に戦える そう思っていた でも本当は違う 夫のリミッターが外れれば 夫のパワーに 私が太刀打ちできるはずがない でも夫はリミッターを外さなかった いつも夫が先にあやまり 私にゆるしを乞うた 私を止めたのは夫であり 私を守ったのも夫だっ... 2023.10.05 エッセイ